本当に大切なことは誰にも教えたくない

10年ほど前からメンタルを傷つけて病んで悩んで、自分なりに導き出した結論。たまに日常。

心が折れてから復帰するまでの考察

3575文字。

現状把握

 直近の2か月弱は、心身ともに非常に安定した状態を保っている。このいつ終わるかも分からない好調をぬか喜びで終わらせぬよう、今までの人生で経験のない大きな崩壊を見せたメンタルが、どのようにして史上最高の状態まで復帰し、さらにこれまでの期間安定しているのか、その理由を知っておく必要がある。

 信頼できる人物ができたとか、生活リズムが安定しだしたとか、環境の変化も重要な要素だが、今回は自分の内側で何が起きていて、何が変わって安定を手に入れられたのか考える。

 

「今まで」の分析

格闘と疲弊そして敗北

 6月下旬に心が折れるまでは、それまでの経験をもとに構築した自己防衛策の全てを常時フル稼働させることで、メンタルへ影響を及ぼすストレスを最小限まで抑えることに全力だった。ただ、冷静になって考えてみれば、この方法は心身に絶え間ない緊張を与え、休まる時間を無くす自滅的な策であったことがわかる。

 多種多様な策で固められた最高硬度を誇る自慢のメンタル防衛ラインも、経験したことのない種類のストレスや許容量を超えたストレスと格闘していれば、徐々に疲弊していく。やがてスタミナに限界が来れば、それまで塞き止めていたストレスは防衛ラインを破って一挙に心の中に流れ込む。もはやメンタルを守るものは無いので、いとも容易く心を破壊され、極度の鬱と自殺衝動に襲われるという結末を迎える。

 

再起不能そして絶望

 日常的に全力で防衛線を張っていたため、一度心を破壊されると、ほぼほぼ自力で心の占有権を取り戻すことは不可能だ。元々物理的・精神的に近い場所に頼れる人物をつくれていないので、生きる気力を失い、誰も助けてくれない状況に絶望してしまう。それまで生き甲斐にしていたはずのことも見失って、ひとつの決断を下してしまう。

 

決める

 これは言葉にしたくない最悪の選択。全ての絶望から解放する無償の救済。しかし、俺にとってこの決断こそ、今の安定のきっかけであり、今の強さの始まりでもある。この”決める”という瞬間に自分の中で何が起きているのかを知ることは、この先の困難に立ち向かう為に心強い心を身に付けることに繋がると考えられる。

 この”決める”という行為は、俺にとって単なるこの世へのお別れではないらしい。そうでなくては、この後、再び心を再構築するに至る状況に繋がらないからだ。全ての鍵はこのパートに隠されている。

目標

 生きる意義を失って、最悪の決断を下すわけだが、この瞬間、実は生きる意義を見出していることに本人は気づいていない。”自分自身を終わらせる”という明確な目標が立っているのだ。しかも、他者や環境に依存しない極めて安定した目標だ。この明確な目標が空席になった生きる意義に座することで、一時の安定を獲得する。ただ、この安定は基本的に本人の自覚なしに生じているが、俺に起こる変化はこれだけではない。

制限の緩和

 次に起こる変化は、今まで気にしていた恥とか後ろめたさとか、罪悪感の許容量が大幅に緩和される。その結果、例えば行動が大胆になったり言動が前向きになったりするが、少々突飛さが付随して今まで全然話しかけなかった人や長く疎遠だった友人のSNSにコメント入れたり、メッセージ送ったりと、時には迷惑とも言える行動に出てしまう。しかも比較的近しい人には楽しそうに「俺もう決めたわー」とか言っちゃうからたちが悪い。もはや誰と何を話しても決意が揺らぐなんて微塵も考えていないんだ。

 こうした行動は、自分が苦しいときに、真に手を差し伸べてくれる人物を見究めることにつながっている。安定状態のときは人を試すような酷い行動だと思うけれど、”決める”を発動したときは罪悪感に疎い状態だから......と思ったけど、実際は単純に身辺の整理をしているだけな気もするが、現段階でその点は肝ではないので、また今度考える。

 

新たな意義の探索

 恥や後ろめたさで抑え込んでいたもっと本能的な行動も許すことによって、一時的に活動するためのエネルギーを回収しているように思える。

 しかし、一度決断して自分の中の苦しみから解放される道を選んだとは言え、その決断が最善のものであるという確信は持っていないらしい。親しい人には、病み切って耐えられなくて、決断に至ったという話をしていることから、何らかの救済を最後まで探していこうという気持ちが見える。

 この探索は、臨時で回収したエネルギーが切れるまで続くものと思われる。もし現状で最善の策が見付かれば、愚かな決断は即時撤回。そして新たな生きる意義に更新され、心の再構築へ向かう。現在まで救済の探索は失敗していない。もし、見つからなければ、エネルギーが切れてしまったら、その時は決断が実行に移されるだろう。

 

 以上のことから、この”決める”という事象は、明確な目標と大胆な行動力を齎すことが分かった。

 ここからは、新たに発見した生きる意義を糧に、心を再構築する。

 今までよりも柔軟で、そしてより頑丈な心を。

 

心の再構築

 経験の分析から獲得した様々な自己防衛策や新しい観念を加えた制限と防衛線を築いていく。新しい生き甲斐は旗のように掲げられ、メンタルの中心に舞うイメージで立てられる。こうして新しくより強固なメンタルを手に入れる。

 

復帰と安定

 メンタルの築造が終わると、決断の正式な撤回と同時に再興を宣言する。今までより柔軟で強いメンタルと、より明瞭な目的の獲得によって、ストレスに対する耐性が強くなる。そのため、心の崩壊以前とは比べ物にならない安定した状態を手に入れることができる。これが成功すれば、以後少なくともまた経験のないストレスが一挙に押し寄せなければ、しばらくは心が正常に運転していく。

 

「今まで」のまとめ

 上記のことをまとめると、

  1. 日常的な自己防衛策のフル稼働による疲弊
  2. ストレスの防衛線突破と心の折損による再起不能状態
  3. ”決める”という最悪な決断
  4. ”決める”ことによって、無自覚に明確な目標の定義 = 生き甲斐の獲得
  5. ”決める”ことによって、行動の制限の緩和     = 活動力の獲得
  6. ”決める”という行為の、無自覚な否定       = 最善策の探索
  7. 新たな生きがいの発見
  8. 心の再構築

 といった感じになり、この流れが「今まで」の心が折れてから復帰するまでの大まかなフローになると思われる。

 

「今回」起こった心の再構築

  では、今回起こった再構築はどうだったのか振り返ってみる。まず言えることは、今回の再構築は「今まで」とは明らかに異なる。具体的にどこに変化があったかと言うと、上でまとめた流れの一番最初にある自己防衛策の運用方法だ。

 「今まで」の再構築では、心を守る為の防衛ラインは常に警戒レベルMaxで、心身ともに負担が大きい矛盾した手段を使っていた。緊張の糸が緩む時間が全くなかった。

 なぜ「今まで」の間、この方法を採用していたかと言うと、1ミリのダメージも許容できる余裕が無かったから。だけど実際に365日1ミリも心にダメージが無い生活なんて不可能な代物で、傷を負う度に精神状態は激震に見舞われ、鬱状態に陥っていた。

 だからこの考え方に修正を加えることにした。実際は無自覚だけどね。

 今回の再構築からは、ある程度メンタルに傷が入ったり、最悪折れたりすることを容認していく方向に変えてみた。常時最大限の抵抗を維持していても、結局心の疲弊は避けられず、最終的に大きな折損を喰らった時に受ける衝撃はあまりにも大きすぎた。疲れ切る前に、傷を受け入れて、新しく強固にしていく作業を都度繰り返した方が、実際に消耗するスタミナは少なく済むという結論だ。

 つまり、傷と折損の容認と、素早い処置こそが、今回の再構築で取り入れられた新たな考え方だ。

 

終わり

 ちょっと昔まではストレスを感じても、柳に雪折れなし、暖簾に腕押し、のように受け流していく心こそ理想の強さなのだと思っていたけど、今は、傷ついても、折れても、壊れても、再び立ち上がる心、さらに強くなって歩き出す心こそ本当に強い心なのだと思い始めた。

 今回の再構築で出来上がったメンタルが「今まで」のやり方で再構築したものより良いという確証は未だ得られていないが、今までに経験のない安定を実感しているのは事実。これから本格的に業務が始まれば、その時のストレスは相当なものだろうから、このメンタルの小手調べには打ってつけじゃないか。

 今回このような再構築が起こった要因としては、

  • 整理された10年を超える闘病生活の記録と経験
  • 経験に記録のない大きな挫折
  • 信頼できる人の存在

などが挙げれると思う。

 この稀有な条件が奇蹟的に揃って今回の再構築を迎えるまで、諦めずに心を作り直してきてくれた自分と、その為の力をくれた周囲の皆に感謝しています。