本当に大切なことは誰にも教えたくない

10年ほど前からメンタルを傷つけて病んで悩んで、自分なりに導き出した結論。たまに日常。

大学院のおはなし②

523文字

最後の日

 3月30日、金曜日。

 入社式まであと3日、俺は研究室にいた。

 先輩の実験のお手伝いをするために、3日後に控える入社式の準備もせず、早朝からいそいそと準備して、陽が落ちるまで先輩と後輩と3人で測定三昧だった。

 先輩は年度末の忙しい時期に、実験に付き合わせてしまって申し訳ないと、何度も繰り返したが、逆に俺は好きでお手伝いをさせて頂いたと何度も伝えた。

 俺はもう実験したくても出来なくなってしまう生活に入っていく。生命の真理を解き明かす小旅行もここで終わりだ。でも俺が整えた道を選んで、しかもさらに先まで開拓してくれる人がいるなら、喜んでその手助けをしたい。

 特に俺の先輩は、色々事情があって、研究に割ける時間が少ない。同じ方向性の、さらに上を目指す志を持った尊敬できる先輩の仕事を少しでも円滑に、効率よくするためなら、社会人としての第一歩が出遅れても問題ないし、寧ろ先輩の研究や物理学の発展に貢献できたと思える方が、この後の長い人生を潤す何よりの充実に繋がる。

 

 実験している時間が何より大切だった俺だ、心残りが無いわけがないが、研究生活は一旦ここで小休止。

 

 あ、論文は書き上げたいね。

同期も書くって言ってたしな!

 

 ひとまずお疲れ。