ここ最近、ずっと不調だなと思っていたんだけど、冷静になって考えて見れば、そもそも俺の標準的な調子はこんな程度で、研究とか私生活で発揮出来るパフォーマンスもこんなもんだったはずだ。
不調だという錯覚に陥ったのは、自分を見る目が狂った所為で、本来の自分の能力を見失ったからだ。
体調も明らかに悪い。でも、もともと体調が満足行くほど良い日なんて無かったじゃないか。自殺という考えが頭の中を占領することだって何度も経験している。
俺の心身の状態は至って普遍的だった。
何をきっかけに自己評価の基準が狂ったのかは未だ謎のままだが、自分に期待すること自体は悪いことじゃないのだから、あとは冷静さを維持しながら、それに見合う能力を付けていくだけ。
しかしまあ、面白いことに酷い体調は深夜の緊急地震速報の警報音と対象地域を聞いた途端に吹き飛んだ。
ほんと、恥ずかしいくらい単純な男だなあ。