本当に大切なことは誰にも教えたくない

10年ほど前からメンタルを傷つけて病んで悩んで、自分なりに導き出した結論。たまに日常。

師匠と弟子の話でもしましょうか

 ここ最近体調が優れず、加えて学会や講義の準備で忙しいこともあり更新が滞ってしまった。でも書きたい事は沢山あるので、体調やスケジュールと相談しながら少しずつ消化していこうと思う。

 さて、何から書こうか。

最近思うことがあったので、俺の研究者としての師匠と弟子の話でもしようか。

 

 まずは師匠の話から。

 俺の研究者としての師匠は、研究室に配属されてから数カ月だけ在籍期間が重なった、とある修士2年の天才だった。師匠は修士課程の2年間を全うし、ある大企業に就職して去っていった。当初は認識できなかったが、俺も研究活動を重ね、知識と経験を積み重ねる内に彼が当たり前のようにこなしていた作業がいかに高度だったのか、彼が残した功績がいかに偉大さだったかを知り驚かされた。博士課程へ進み、さらに研究を深めていくべき存在だったと思う。師匠の凄さを完璧に思い知らされたのは、彼が修了して去ってから数カ月した頃に、教授の口から飛び出した以下の言葉だ。

「彼には『君の席は残しておくから、いつでも戻ってきていいよ』って言ってあるから」

正直これは創作の中だけで登場する台詞だと思っていた。師匠は今でも研究者としてのポジションを約束された存在であり、教授は微かに残っている師匠の帰還を期待している。まあどれくらい師匠の存在の大きさが伝わったか分からないけど、とにかく教授も手放しで才能を認める研究者だったということだ。

 

 次に弟子の話を。

 弟子は学部4年の女の子で、ちょうど1年ちょっと前に研究室に配属されてやって来た。最近の俺の研究のモチベーションは、彼女の成長を一番近くで目の当たりにすることにある。彼女と一緒に実験を重ねるたび、同じ期間研究を続ければ確実に俺を超える成果を出すポテンシャルを秘めていると思わされる。何を根拠にこんなことを言ってるかというと、まず第一に実験系の研究活動に必要な体力を持っていて、なおかつ複雑系の研究に対してある意味一番大切な才能とも言うべき"適度なてきとーさ"を持っているから。それはかつて明確に認識出来なかった師匠に感じた雰囲気にとても似ている。

 弟子は来年の3月に卒業してしまう。もったいないなあと思う。能力的には少なくとも修士過程に進んであと2年研究の場に残る意味のある逸材だというのに。

 

 どうして本当に優秀な人たちはその才能を最大限に活かしきらない内に去ってしまうのかと憂う今日この頃なわけだが、超優秀な師匠と超有望な弟子に挟まれたお陰で今日の自分の能力がここまで底上げされたのだなとも思う。

    俺の体力も限界に近いけど、2人が教えてくれた研究の楽しさを胸に、あと一年ちょっとだけ研究に向き合おうと思う。